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■母平均,母比率の推定
 母集団から標本を抽出して,標本調査によって母集団の性質を調べることを考える.

 標本の要素の個数を「標本の大きさ」といいnで表わす.


※ 「標本」という用語は,個々のもの(個々のデータ)を指すのでなく,母集団から取り出された集合(部分集合)に付けられた名前となっており,「標本の大きさ」という用語は個々のデータの大きさのことでなく,標本という集合の要素の個数を示している.
○1
 母平均 μ ( ミュー:ギリシャ文字 ) ,母標準偏差 σ ( シグマ:ギリシャ文字 ) の母集団から大きさ n の無作為標本を復元抽出するとき,
標本平均 m の期待値 = μ

標本平均 m の標準偏差 σ’=

 ある学校の3年生男子の平均体重が55.0(kg)で標準偏差が5(kg)のとき,その中から25人を無作為・復元抽出するとき,標本平均の期待値は55.0(kg),標本平均の標準偏差は1(kg)となる.


※ n → ∞ のとき,σ’= → 0 となるから,標本平均は,母平均に限りなく近づく.[ 大数の法則 ]
○2  [中心極限定理]
 母平均 μ,母標準偏差 σ の母集団から大きさ n の無作為標本を復元抽出するとき, が十分大きいとき,標本平均 m は正規分布

N(μ,)
をなすとみなしてよい.
・・・ 母集団が正規分布のときは,n が大きくなくてもこの関係は成立する.

 ( n が十分大きければ)母集団がどのような分布であっても,標本平均は正規分布となる.
 ( n が大きくなくても )母集団が正規分布ならば,標本平均は正規分布となる.
○3   ( 母平均の推定 )
 母平均が95%の確率で含まれる区間を95%の信頼区間という.99%についても同様.
 標本を調査することにより,母平均を推定することができる.

 標本の大きさ n が十分大きいとき,母平均 μに対する信頼区間は,
i) 信頼度 95% では
m - 1.96μm + 1.96
ii) 信頼度 99% では
m - 2.58μm + 2.58



◇重要◇
 この定理において,母集団の大きさ(個数)は登場せず,母集団に対する標本の割合も登場しない.

→ 「標本調査において,母集団の何%の標本を抽出するかが重要なのでなく,標本の大きさ(個数)が重要」

→ 「母集団がどんなに大きくても,推定の精度は標本の大きさ( n )で決まる.」
※ よく使われる信頼度は95%,99%の2つ
(100%の信頼度にすると,区間が-∞〜∞となって意味がなくなる.)
正規分布では上の図(標本平均の分布図)のようになっているから,母平均μがこの区間に含まれる確率は次のようになる.
P(m-1.96σ’≦μ≦m+1.96σ’) = 0.95
P(m-2.58σ’≦μ≦m+2.58σ’) = 0.99
ここで,標本平均の標準偏差σ’は母集団の標準偏差σを用いて
σ’=と書ける.

[高校数学C]
 母標準偏差σが分からないとき,σの代わりに標本の標準偏差 s を用いてよい.
[理系の専門学科・高卒以後]
 母標準偏差σが分からないとき,母集団の標準偏差の推定値として,標本の不偏偏差を用いる.(不偏偏差の方が少し大きい.)
○4   ( 母比率の推定 )
 ある性質をもつものが母集団において占める割合を母比率,標本において占める割合を標本比率という.
 標本比率を調べることにより,母比率を推定することができる.


 n が十分大きいとき,標本の大きさ n ,標本比率 R のとき,母比率 p の
i) 信頼度 95% の信頼区間は
R - 1.96 p R + 1.96

ii) 信頼度 99% の信頼区間は
R - 2.58 p R + 2.58
※ [二項分布の正規分布による近似]
1回の試行で事象Aの起こる確率が p のとき,この試行を n 回行ったとき,事象Aが起こる回数は,二項分布 B(n, p) となる.
n が十分大きいとき,この二項分布は正規分布 N(np, np(1-p) )で近似できる.
 n 個の標本を無作為抽出するとき,ある性質を持っている標本の個数は二項分布を満たすから,n が十分大きいとき正規分布とみなすことができ,個数の期待値 np,標準偏差 ,比率の期待値 p,標準偏差 となる.
 n が十分大きいとき,母比率 p は標本比率 R とほぼ等しいから,比率の標準偏差は となる.

(※ pの範囲を求めているのに,pがRとほとんど等しいと見なしてしまうことは雑な推論に見えるが,のまま無理不等式→2次不等式でpの範囲を求めても,Rで代用しても結果はあまり変わらない.[n が十分大きく,大数の法則が成り立つから]
pのままで無理不等式→2次不等式で解く解説書もある.)
■例と答
○1
 母平均 170.0,母標準偏差 15.0 の母集団から,大きさ 25 の標本を復元抽出するとき,標本平均の期待値と標準偏差を求めよ.
(解答)
標本平均 m の期待値は = 170.0
標本平均の m の標準偏差は σ’ = 15/5 =
3
標本平均 m の期待値 = μ

標本平均 m の標準偏差 σ’=
を用いる.
○2
   母集団の平均150(g),標準偏差30(g)の玉葱から100個の標本を無作為抽出するとき,標本平均が145(g)以下となる確率を求めよ. [参考:正規分布表] 
(解答)
標本平均は期待値m=150(g),標準偏差σ’=30/10=3(g)の正規分布をなすから,
P(X≦145) = P(X≦m-1.67σ’)=0.5-0.4525=0.0475
・・・
4.75(%)
標本平均 m の期待値 = μ

標本平均 m の標準偏差 σ’=
の正規分布  N(μ,) を考える.
○3 母平均の推定
 (1)
 大量の玉葱から100個の標本を無作為抽出して測定したところ,標本平均150(g),標本標準偏差30(g)となった.母平均の95%の信頼区間を求めよ.
(解答)
標本平均の期待値はm=150(g),標本標準偏差 s= 30(g)=σであるから,
信頼度95%の信頼区間は
   150-1.96×σ/10≦μ≦ 150+1.96×σ/10
    144.1(g)≦μ≦ 155.9(g)
(2)
 母標準偏差30(g)である大量の玉葱から標本を無作為抽出する.母平均の95%信頼区間の幅を3(g)以下で得るには,標本の大きさを何個にすればよいか.
(解答)
母標準偏差 σ= 30(g)であるから,信頼度95%の信頼区間は
     m-1.96μ≦ m+1.96
信頼区間の幅は,2×1.96×≦3 ・・・ n≧1537個
(3)
 ある工場で生産される製品の重さを無作為抽出した標本で検査したい.予備調査の結果,この製品の重さには約10(g)の標準偏差があることが分かっている.信頼度95%で誤差の範囲を1(g)以内で推定するには,標本の大きさを何個にすればよいか.
(解答)
誤差の範囲は,1.96×だから
1.96×≦1
n≧(1.96×10)2 = 384.16 … 385個
i) 信頼度 95% の信頼区間
m - 1.96μ≦ m + 1.96
ii) 信頼度 99% の信頼区間
m - 2.58μ≦ m + 2.58
を用いる.













(*) 誤差 = | 標本平均の期待値 - 母平均 |
○4 母比率の推定
 (1) 3600人を無作為に抽出して内閣支持率を調べたところ,支持する者は2000人であった.内閣支持率の信頼度95%の信頼区間を求めよ.また,信頼度99%の信頼区間を求めよ.(日常表現に近い言い回し:「内閣支持率を95%の確率で言い当てるには,何%以上何%以下と言えばよいか.」)
(解答)
標本の内閣支持率は R = 2000/3600=0.5556
    = = 0.0083
信頼度 95% の信頼区間は,
   0.5556-1.96×0.0083 ≦p≦0.5556+1.96×0.0083
   0.5393≦p≦0.5719 ・・・ 53.9%〜57.2%
信頼度 99% の信頼区間は
   0.5556-2.58×0.0083≦p≦0.5556+2.58×0.0083
   0.5342≦p≦0.5770 ・・・ 53.4%〜57.7%
 (2)
 大量の玉葱から100個の標本を無作為抽出して検査したところ,不良品が5個あった.母集団の不良率を95%の信頼度で推定せよ.
(解答)
標本の不良率はR=0.05,
信頼度95%の信頼区間は

  0.05-1.96≦p≦ 0.05+1.96
  0.05-1.96×0.022≦p≦ 0.05+1.96×0.022
  0.007≦p≦0.093
  
0.7%〜9.3%
(3)
 無作為抽出で世論調査を行って,ある政策に対する支持率を調べたい.信頼度95%,誤差の範囲1%以内で求めるには何人以上調査すればよいか.(日常表現に近い言い回し:「支持率 ○○% ±1% という形で求めるには何人調査すればよいか.」)
(解答)
1.96× ≦1.96×≦0.01
n≧9604 ・・・ 9604人以上
i) 信頼度95%の信頼区間
R - 1.96 p R + 1.96
ii) 信頼度99%の信頼区間
R - 2.58 p R + 2.58
を用いる.




























(*)比率の 誤差 = | 標本比率の期待値 - 母比率 |
※ 標本比率 R の見当がつかないときでも,R(1 - R) は1/4以下となる(次のグラフ参照:2次関数)

簡単チェック:例題→解答,類題→??型 の問題

例題 類題
○ [医療関連の問題]
(1)・・・ 標本数が30以上で,母標準偏差が既知のとき
 ある町の小学校1年生男子から50人を無作為抽出して調べたところ,平均身長は116.8cmであった.この町の小学校1年生男子の平均身長について信頼度95%の信頼区間を求めよ.
 なお,同年に行われた全国調査で,小学校1年生男子の身長の標準偏差は4.97cmであった.

(考え方)
 母標準偏差σが既知のときの信頼度 95% の信頼区間は
m - 1.96μ≦ m + 1.96
(解答)
 標本平均の期待値はm=116.8(cm),母標準偏差σ=4.97(cm)であるから,
 母平均μの信頼度95%の信頼区間は
   116.8-1.96×4.97/√(50)≦μ116.8+1.96×4.97/√(50)
    115.42(cm)≦μ≦ 118.18(cm)
(1)’
 ある町の小学校1年生女子から60人を無作為抽出して調べたところ,平均体重は21.0kgであった.この町の小学校1年生女子の平均体重について信頼度95%の信頼区間を求めよ.
 なお,同年に行われた全国調査で,小学校1年生女子の体重の標準偏差は3.34kgであった.
(小数第2位まで求めよ.)
[解答]  ==>  見る | 隠す

○ [品質関連の問題]
(2)・・・ 標本数が30以上で,母標準偏差が未知のとき
 ある工業製品から標本70個を無作為抽出して調べたところ,平均の重さ17.3(g),標準偏差1.2(g)であった.
 この工業製品について信頼度95%で母平均の信頼区間を求めよ.

(考え方)
 標本の大きさが約30以上のときは,標本標準偏差σを母標準偏差と見なしてよいから,信頼度 95% の信頼区間は
m - 1.96μ≦ m + 1.96
(解答)
 標本平均の期待値はm=17.3(g),母標準偏差σ=1.2(g)であるから,
 母平均μの信頼度95%の信頼区間は
   17.3-1.96×1.2/√(70)≦μ17.3+1.96×1.2/√(70)
    17.02(g)≦μ≦ 17.58(g)
(2)

 大量のパンから標本40個を無作為抽出して調べたところ,平均の重さ33.5(g),標準偏差0.5(g)であった.
 このパンについて信頼度95%で母平均の信頼区間を求めよ.
(小数第2位まで求めよ.)


[解答]  ==>  見る | 隠す

○ [市場関連の問題]
(3)・・・ 母比率を求める問題
 ある都市で上水道のカビ臭さについて住民の意識調査を行ったところ,回答のあった450人のうち200人がカビ臭さが気になると答えた.
 カビ臭さが気になる人の割合について信頼度95%の信頼区間を求めよ.

(考え方)
 n が十分大きいとき,標本の大きさ n ,標本比率 R のとき,母比率 p の信頼度95%の信頼区間は
  R - 1.96 p R + 1.96

(解答)
 標本の比率は R = 200/450 = 0.444
 標本の大きさは n=450であるから,=
0.023
 母比率pの信頼度95%の信頼区間は
    0.444-1.96×0.023<p< 0.444+1.96×0.023
    0.399<p<0.490
    39.9%〜49.0%
(3)
 ある都市で新しい条例の施行に向けて住民の意識調査を行ったところ,回答のあった180人のうち新しい条例について,よく分からないと答えた人が100人あった.
 新しい条例がよく分からない人の割合の95%信頼区間を求めよ.
[解答]  ==>  見る | 隠す
○ [医療関連の問題]
(4)・・・ 必要な標本数を求める問題
 小学校1年生男子の身長の標準偏差は4.97(cm)であることが分かっているとき,ある町の小学校1年生男子の平均身長を信頼度95%で1(cm)の誤差で求めるには,標本の大きさを何人にすればよいか.

(考え方)
 信頼度 95%のとき,最大誤差は1.96だから1.96≦1となればよい.
(解答)
 母標準偏差σ=4.97(cm)であるから,
 母平均μの信頼度95%の信頼区間は
   1.96×4.97/√(n)≦1 となるには
   1.96×4.97√(n)
   94.89≦n
   95人以上
(4)
 小学校6年生女子の身長の標準偏差は6.76(cm)であることが分かっているとき,ある町の小学校6年生女子の平均身長を信頼度95%で0.5(cm)の誤差で求めるには,標本の大きさを何人にすればよいか.

[解答]  ==>  見る | 隠す

   

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